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中小製造業の経営者・IoTエンジニアが最初に読むべき本【書評】

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今から紹介する本は、IoTデバイスの設定方法でも、取得したデータの解析方法を記した本でもありません。中小企業が一丸となってIoT化に取り組み、そして大きな成果と新しい価値を勝ち取ったサクセスストーリーが記されています。

社内のIoT化に取り組む際に重要なことが実にわかりやすく、そして成功例を基に語られています。IoTを実現するための技術は、技術者を育てるか、ベンダー企業のソリューションを導入することで実現しますが、IoTには社内の風土すら変えてしまうほどのエネルギーがあるということがわかります。

中小製造業の経営者・IoTエンジニアが最初に読むべき本

こんな方におすすめ

  • 製造業IoTの取り組みで悩まれている経営者
  • IoT取組み成功事例を見てワクワクしたい方
  • IoTの目標設定に迷われている方
  • 自社のIoTを低コストで進めたい方
  • 製造業IoTのメリットを知りたい方

Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ!」は旭鉄工㈱の木村社長により2018/8/1に発売されました。旭鉄工㈱といえば、ネットで「製造業IoT 成功事例」などと検索すれば必ず名前が出てくる、IoT化で非常に大きな成果を得た会社として有名です。

その旭鉄工のIoT化推進のトップとして舵を取った社長自らの著ですので、リアリティがあります。また、取り組みを始めた経緯や当時の会社の状況が時系列で紹介されており、呼んでいる自分が、改善メンバーになったような感覚で進められます。特に現在、社内IoTに取り組まれている担当者には「うん、うん」と思わずうなずいてしまうポイントがたくさんあります。

同じ中小の製造業が成功していく様は、ワクワクするものですね!この本のポイントを紹介しつつ、私自身も振り返ってみます。

「Small Factory 4.0 第四次「町工場」革命を目指せ!」から得た製造業IoTのヒント

IT人材が居なくてもなんとかなる

たとえ昭和時代の生産設備であろうとも、自分たちで力を合わせればなんとかなるだろう。との考えから、市場に自社の設備に合ったデバイスが無いことがわかると、秋葉原で材料をそろえて自作するところから始めます。本書の中では「欲しいものを作れ」という言葉で綴られ、自社の技術は自社で作り上げてきたことが紹介されています。

中小企業にとって人材、そして資金不足は共通の課題です。安く・必要な機能だけあれば良いという観点から、IoTデバイスを内製で作り上げてしまったのです。なんだか励みになるストーリーですね!

IoTの推進で社内の雰囲気ががらりと変わった

IoT化で単に数字だけの結果を出しただけでなく、社内の雰囲気まで変わったというのです。社内に「挑戦する風土」が芽生え、改善が体質化していく経緯が書かれています。社員のやる気を出すためにどんな発破をかけ、社長自身がIoT化にどのように関わって行ったか書かれています。

IoT化という舵を切った社長自らが社員と一緒になって考えることで、会社内の意識が変わっていきます。やはり経営トップの推進力が、新しいことを始めるにあたって非常に大切であることがわかります。

経営者の関わり方として、以下のように書かれています。

大切なのは、抽象的な命令や理想論を振りかざして社員をうんざりさせることではなく、具体的なアイデアを出すこと、つまりみんなで知恵を出し合うことを経営者みずからが示すこと

このように考えてくれる上司や経営者がいれば、仕事は本当にやりやすいでしょうね!

運用の工夫が、IoT化を成功に導くカギである

IoTで、生産設備のデータを取れるようになり、いわゆる問題の可視化ができました。問題に対してどのようにスピード感をもって対処していくのか、そのデータの運用方法がIoT化の成否を決めると記されています。

IoTで取得できるのはただのデータ。そのデータを生産性UPのためにどのように運用していくかは、人間の仕事です。どんなソリューションも解決のアイデアを出せるのは人間だけ。みんなで取り組むことで、社員の意識と企業風土が大きく変わるとの言葉の通り、IoT化成功の自信は、社員の仕事への熱意すら変えてしまったようです。

「できるかどうか」ではなく「必要か否か」で判断する

IoT化で出す成果(目標)を設定する際に、「できるかどうか」ではなく「必要か否か」で判断することが大切だとされています。高い目標を設定すると、できるまで知恵を出し続ける。その際に、IoTで出てくる生データが指標となるということです。

通常、目標設定はできそうな範囲に留めたくなります。しかしそれでは革新的な業務改善はできないということですね。たとえ目標値が実現の難しいものであっても、取り組むなかで成長し、達成するまで取り組み続けることを期待した考え方です。会社というマンネリした人間関係の中では、なかなかこういった目標設定はしにくいものです。やはり大きな成果を出す会社は意識が違いますね。

最悪なのは、細部の欠点を指摘されることを社員がおそれ、提案自体がなくなってしまうこと

だれだって細かいことをガミガミ言われるのは嫌です。言われるとわかっていると、提案そのものをしなくなってしまう・・・そんな風土がどの職場にもあるでしょう。チャレンジする企業風土を経営者が率先して作ることで、改善のスピードそのものがあがります。また提案を採用された社員もやりがいを感じて仕事に打ち込むことができます。やはり人に認められると誰しも嬉しいものですからね。

変化を嫌い、挑戦を拒み、時代に取り残されていることもわかっていない会社の在り方に危機感を覚えた

社内のIT化に足踏みしている経営者には、耳の痛い話でしょう。作業やスペースにムダがあって、ムダと気づくことすらできずに、去年と同じモノづくりをしている状態です。製造業の現状維持は後退だと言われます。新しいものを次々に採用する必要はありませんが、必要なものを最低限の投資で導入するための努力(勉強)は経営者含め、社員全員で取り組むべきと考えます。


いかがでしょうか。

後半の新会社の紹介の項までは、ゆっくり読んでも3時間ほどで読むことができます。製造業に携わる方でしたら、内容がすっと入ってくるまとめ方となっており、とても読みやすいです。そして、ワクワクし羨ましくもなります。

旭鉄工㈱では、社内のIoT化で得た知見を、製品化し、社外へ展開しています。これはまさに、IoTを内製で取り組んだことで生み出した新しいビジネスです。旭鉄工の主力製品は、トヨタ自動車向けのエンジン部品。エンジン自動車はいずれ電気自動車に変わられ、エンジンのような複雑な部品は必要なくなります。

しかし、旭鉄工には”IoT商品”という新しいビジネスが生まれ、会社存続の可能性を繋ぎました。IoTはそういった可能性を秘めているということですね。自社の課題解決からビジネス展開まで、本当にサクセスストーリーという言葉がしっくりくる内容に、胸が熱くなりました。「次はAIだ」という内容も書かれており、次回作が早くも楽しみです!

さいごに

私自身も中小製造業の技術者であり、まさにIoT担当として日々冷や汗を流している立場です。ネットの情報でIoT化成功例はいくつも呼んできましたが、やはり当事者・推進者の言葉で語られた本物のアウトプットには説得力があります。

IoTに取り組み始めて間もない段階でこの本に出合えたこと、本当に幸せでした。この本から得られることはスキルやアイデアではなく「マインド(心)」である、と強く感じています。こんな経営者のもとで働いてみたいですね。

鉄工業の会社の成功事例が、どんな会社にもそのまま当てはまるわけではありませんが、自社には自社の「身の丈に合ったIoT」を目指して精進していきたいと思います。

あなたのおすすめの本があればぜひ紹介してくださいね。

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中小企業エンジニアです。35歳で急遽プログラミングを覚えることになり、PythonやJavaScriptなどをゆっくりマイペースに覚えています。先端スキルには疎いですが、楽しくコーディングしてます♪最近の興味は【WEB開発】です

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