IT人材の不足が声高に叫ばれています。「2030年までに80万人不足」といった途方もない数値ばかりがクローズアップされますが、実際にITのどの分野の人材が不足するのでしょうか。
これからITエンジニアを目指す者にとっては、将来性のある分野を学習することが重要です。そもそもIT人材とはどんなエンジニアを指すのかも含め、IT人材の動向を政府資料から考察します。新しいIT技術を身に付けるにしても、これから期待される分野としたいですね!
そもそもIT人材ってどんな人材??
多種に及ぶ人材に対して一緒くたに「IT人材、ITエンジニア」と言われても正直パットしません。「プログラミングする人?」といった曖昧な回答しか思いつかない人が多いでしょう。まずは、IT人材とはどんな職種があるのかを整理します。
情報処理推進機構によるIT系試験内容から、IT人材の職種をまとめました。

引用:情報処理推進機構
IT人材とは
- 開発
- セキュリティ
- マーケティング
- 保守・運用
IT人材は大きなくくりで上記4種に区別できます。それでは、各項目の詳細を見ていきましょう。
IT人材:開発に関する職種
開発というとプログラミングを想像される場合が多いかと思います。実際には開発といっても設計や稼働テスト、インフラ構築、そういった業務をまとめていくマネージャーなど多岐にわたります。できるプログラマーはスター扱いですが、その他大勢の開発人材がいてこそ仕事ができるのですね。
[st-point fontsize=”” fontweight=”bold” bordercolor=””]開発に携わる人材一覧[/st-point]
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- システムエンジニア(システム開発)
- ネットワークエンジニア(システム開発)
- サーバーエンジニア(システム開発)
- ソフトウェアエンジニア(システム開発)
- ロボットエンジニア(システム開発)
- プロダクトマネージャー
- データサイエンティスト(研究開発)
- AIエンジニア(研究開発)
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実際の業務ではさらに細分化されますが、大きな括りでまとめました。
プログラミングなどはソフトウェアエンジニアの分野に入ります。ビッグデータを扱う技術者は「データサイエンティスト」呼ばれ、AIエンジニアと共に花形となっていく職種です。
また「IoTエンジニア」という言葉も聞かれますが、IoTにおいては、システム(設計)、ネットワーク、サーバー、ソフトウェアと網羅的に開発ができるスキルが要求されます。ソフトだけできれば良いということは無いんですね。
IT人材:セキュリティに関する職種
IoTなどで、ネットワーク構築の需要が増しています。ネットワークとセキュリティは両立すべき技術です。ネットワークを構築してしばらく経ってからセキュリティを考えていては、リスクにさらされている期間が長くなってしまいます。企業においては、経営視点からセキュリティリスクを想定していなければならない時代になっています。
そこで、デジタルセキュリティの専門家が重要視されるようになるのですね。セキュリティはなかなか社内に専門家を置くことが難しい為、今後はセキュリティベンダーが大きく成長していくでしょう。
IT人材:マーケティングに関する職種
マーケティングとは
企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。 ウィキペディア
要するに、お客さんが(潜在的に)求めている商品やサービス、または困りごとを掘り当て、それを解決・商品化していく戦略を練る職種です。モノが売れる道程を作る仕事ですね。
例として、「webマーケティング」という職種では、サイトやSNSへの集客戦略というものを考え提案します。コンサル業も兼ねている場合が多いのですね。
企業のサイトに、どういった人が、どこから閲覧し、どれくらいの時間滞在したか、またどのページに移ったかといった「人の動作・操作」を分析し、集客戦略へとつなげます。webに限らず、集客や販促の戦略に関して分析~アドバイスまでを担っているのが、マーケティング人材と言えます。
IT人材:保守・運用に関する職種
製造業のIoT化やペーパーレス化などのシステムを一手に引き受ける、いわゆる「ITベンダー」という企業があります。こういったベンダー企業にシステムを丸投げすれば、保守や運用はお任せすることができます。ベンダー企業は保守・運用で儲けるわけですから、保守・運用に関する人材が必要になります。
製造業を中心に見ても、IoTを内製できる企業はそう多くないので、今後もITベンダーは大きく成長していくでしょう。ただ、参入しやすい業界でもあるため、他社との差別化がカギになります。ITベンダーを選ぶ側からしても、「どこを選んだら間違いないのか」が見えにくい現状があります。
【IT人材】今後どの分野でエンジニアが不足していくのか
さて、IT人材にはどういった職種があるのかをざっくり説明してきました。これを踏まえて、今後どの分野でのIT人材(エンジニア)が不足していくのかを、経産省の資料を基に考察してみましょう。
IT業界への転職・就職を考えているならば、今後の動向はかならずチェックしておきましょう。

引用:経済産業省
経産省の資料「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、上記のような傾向がみられます。
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大幅に不足する人材
- ビッグデータ
- IoT
- ロボット
- AI(人工知能)
不足する人材
- セキュリティ
- クラウドコンピューティング
- デジタルビジネス
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いずれにしてもIT関連の人材は大幅に不足するわけですが、とりわけ「ビッグデータ(データサイエンティスト)」、「IoTエンジニア」、「ロボットエンジニア」、「AIエンジニア」といった分野の人材不足が深刻のようです。
ITシステムとインフラ(ネットワーク)は切り離せませんので、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアといった職種も大きく需要を伸ばすと考えています。
Web関係はどうなの?
現在、Webプログラマーの養成スクールが人気です。Webに関する技術でも特にフロントエンドに関するプログラム(HTML、CSS、Javascript)を学ぶ方が多いようです。
ただ、フロントエンドに関する部分は、いづれAIに取って代わられるという向きもあります。実際に、デザインをもとに、AIがWeb画面を自動作成する研究も進んでおり、自動でコードを生成する技術ができつつあります。
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web制作の自動化が進む! 画像から自動コーディングする深層学習プログラムが公開
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コーディングとは仕様書に基づいてコードを書く仕事ですので、これをAIが担えるようになると、コーディング技術だけでは食べていけません。これからWebを学習する方はサーバサイドや非同期通信など、Webアプリ全体を勉強したほうが良いということになります。
Webの現場にいつAIが導入されるかは不明ですが、今からWeb技術を網羅的に学習しておいて損はありません。
まとめ
不足するITエンジニア
- データサイエンティスト
- IoTエンジニア
- ロボットエンジニア
- AIエンジニア
どんなITエンジニアを目指すか悩まれているならば、大きく不足するであろう分野に飛び込むのもひとつの手です。IT業界の動向を注視して、これから伸びる分野を把握しておきましょう。
どんなエンジニアにしても、プログラミングスキルが邪魔になることはありません。エンジニア選びとプログラミング学習は並行ですすめると、人生の幅が広がりますね。
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